こんな疑問にお答えしたいと思います。
この記事の内容
- 病院の病棟で働く看護師の役割
看護師の職場として最も一般的ともいえる、病院の病棟で働く看護師。
新人看護師はもちろん、すでに病棟で勤務している看護師の中でも、病棟看護師の役割について特に考えずに忙しい毎日を送っている方も多いのではないでしょうか?
そこで、新人看護師や病棟で働くのが初めてという看護師向けに、病棟看護師の役割について病棟で約10年働いた経験を持つ現役看護師が解説したいと思います。
病棟看護師の役割
病棟看護師の役割を考えるにあたって、まずは看護師の基本的責任について看護師の倫理綱領からみてみたいと思います。
看護師には 4 つの基本的責任がある。すなわち、健康を増進し、疾病を予防し、健康を回復し、 苦痛を緩和することである。看護のニーズはあらゆる人々に普遍的である。
ICN 看護師の倫理綱領(2012 年版) より
上記、看護師の倫理綱領から、
- 健康増進
- 疾病予防
- 健康回復
- 苦痛緩和
の4つが看護師の基本的責任ということになりますね。
看護師の4つの基本的責任を果たすための、病棟での看護師の役割は下記です。
病棟看護師の役割
- 医師の診察と検査/治療の補助
- 患者の医療的ケア
- 患者の日常生活ケア
- 退院後の生活指導と退院調整
- 患者とその家族の精神的ケア
- チーム医療の中心的存在(他職種との連携)
- 24時間体制勤務での患者の看護
上記①〜⑦について、順番に解説していきます。
病棟看護師の役割① 医師の診察と検査/治療の補助
看護師は、医師が患者の診察や治療をするときの環境整備や物品の準備、医師への直接的介助、患者への声かけなどのサポートをします。
医師一人では困難なことを、医師の指示に基づいて行います。
患者への採血や注射点滴の施行や管理などです。
病棟看護師の役割② 患者の医療的ケア
看護師は、患者のバイタルサイン測定などの数値から異常の有無の確認を行います。
患者とのコミュニケーションや状態観察から、普段の様子や状態を把握しておきます。
通常の状態を知ることで異変が生じたときにすぐに察知できるようにし、適切な処置や他職種への報告に繋げられます。
看護師の観察や報告から得られた患者の情報をもとに、医師による診察や検査、投薬に至ることも多いです。
病棟看護師の役割③ 患者の日常生活ケア
病棟に入院している患者の中には、日常生活における活動を自分で行うのが困難、または医師による安静の指示から制限されている方が多くいます。
洗面、食事、排泄、入浴(清拭)、体位変換、移送などの生活動作を自立度や安静度指示に合わせて安全・安楽に介助します。
病棟看護師の役割④ 退院後の生活指導と退院調整
入院直後から、自宅への退院や施設への転院に向けて患者の状態に合わせた看護計画を立案します。
患者が退院後も安心して暮らせるよう、入院中から他職種と連携し生活指導や退院調整をしていきます。
終末期における患者には緩和ケアについての相談や調整も行います。
病棟看護師の役割⑤ 患者とその家族の精神的ケア
看護師は、患者やその家族と一番接する機会が多い職種です。
患者や家族は看護師を身近な存在に感じてくれ、医師には直接言いづらいことを看護師に吐き出してくれる患者や家族も多いです。
そんな時に看護師が患者とその家族の話を傾聴し精神面でのケアや問題解決に導くことも重要です。
普段のコミュニケーションから、患者が看護師に話しやすいような関係性を築いておくことが大事です。
病棟看護師の役割⑥ チーム医療の中心的存在(他職種との連携)
病棟に入院している患者には看護師の他、医師、薬剤師、リハビリ、ソーシャルワーカー、管理栄養士、臨床検査技師、看護助手、医療機器メーカー担当など、様々な職種のスタッフが関わっています。
病棟の看護師は患者と直接接する時間が長いため、患者や家族から得られる情報も必然的に多くなります。
得られた情報を口頭またはカルテ記載、合同カンファレンスなどにより他職種と共有します。
患者だけでなく各職種との接点も多いため、チーム医療の中心的存在となり連携していきます。
病棟看護師の役割⑦ 24時間体制勤務での患者の看護
病棟看護師は、病院に入院している患者の看護となるため24時間体制で患者の看護にあたる必要があります。
勤務は2交代または3交代によるシフトで、夜間勤務も発生します。
夜間は、巡回し患者の入眠状況や容態に異変がないかの確認、ナースコール対応、点滴治療の管理などを行います。
関連記事:看護師の【夜勤での役割】ってなに?職場と部署ごとに経験者が解説する。
まとめ
簡単にいうと病棟看護師の役割は、患者が安心して安全・安楽に入院生活を送れるよう看護することです。
病棟における看護師は、チーム医療の中心的存在となり退院後の生活を見据えて看護していくことも大事ですね。
少しでも参考になれば嬉しいです。